H&K P7は、ドイツの銃器メーカーであるヘッケラー&コッホ社(Heckler & Koch GmbH)が開発し、2005年まで発売していた自動拳銃である。H&K PSPとも呼ばれる
H&K P7は1976年に西ドイツ警察の制式拳銃、PSP(ポリッツアイ・セルブストラーデ・ピストール)として提出され、その後採用された拳銃であり、H&K社の独自技術がふんだんに使われている意欲作であった。このトライアルの際に警察側がつけたコードネームがP7であったが、そのまま商品名として使われた(同じ候補にワルサーP5があった)。
特徴:
ガス圧緩衝によるディレイ式ブローバック方式 (銃身下部に並行するガスピストンがある。ピストンはスライドと連結されており、さらにピストンは薬室の直前に開口している。弾薬が撃発され弾頭が前進を始めてこの開口部を通過すると、火薬の燃焼ガスの一部はこの開口部からピストンに進入する。ピストンに進入したガスはスライドの後退に抵抗を与える。この際、薬室と銃身、そして銃身に『栓』をしている弾頭もピストンのチェンバーを構成していることになる。弾頭が銃身を抜けるとチェンバーが開放されることにより、スライドの後退抵抗はなくなり、スライドは速やかに後退し、排莢を行い、さらにリコイルスプリング弾力により前進、次弾を薬室に送り込む)採用によりバレルをフレームに固定することができたため命中精度も向上した。欠点としては、撃発直後に火薬ガスの一部がピストンに流れ込む(弾丸を推進する火薬ガスの圧力低下に直結する)ことにより、同程度の銃身長を持つ他形式の銃に比して弾頭の銃口初速がおよそ10%も低くなることである。
また最も特徴的な機能としてスクウィーズ・コッカーという機能を有している。これはグリップ前縁を丸ごとグリップセフティ兼コッキングハンドルにしたもので、グリップを握らなければ撃芯(ストライカー)が起きあがらずに撃発しないというものである。故にトリガーはいわゆるシングルアクションの様な作動方式となり、かなり軽いトリガー・プルとなっている。更にグリップセフティはスライド・ストップを解除する役割も担っている(最終弾を発射後、弾倉を交換し、握り込めば即座に初弾が薬室へと送られる)。発射ガスを利用するピストンが薬室の直前に開口=トリガーの付け根に当たり、トリガーを引く指が火傷しやすく(初期のP7)改良型のP7M8以降にはトリガーの付け根に火傷防止のプラ製ガードが付いている。
欠点:
最も特徴的な機能のスクウィーズ・コッカーによってトリガーが軽くなり(お陰で、うっかり自分の足をホルスターごと撃ってしまった警官がいたらしいが)バレル固定式ということから拳銃としては命中精度が上がったが、独特な操作を必要とする為に撃ちにくいという評価が下された。またスクウィーズ・コッカーのコッキングの際はけっこうな金属音がするために隠密性が無いとされた。設計はM8が基本だったので、M13のダブルカラムマガジンは左右非対称となっている。
バリエーション:
P7M13PSP
先行試作的な要素を持つ。正式名はドイツ語でPolizei Selbstlade-Pistole(警察用自動拳銃)。
P7M7
.45ACP弾を撃てるように作られたトライアル品(装弾数7発)。試作のみで生産はされなかった。
P7M8
ガス圧を逃がす過程でトリガー付近に熱がこもるという問題が起き改良された後期モデル。問題部分を耐熱ポリマー製パーツに変更。口径9mm、装弾数8発。
P7M10
.40S&W弾用に変更されたモデル(装弾数10発)。アメリカ輸出用と思われるが、アメリカ市場で人気があったとは言い難い。
P7M13
P7M8のマガジンをダブルカラム方式にして装弾数13発にしたモデル。グリップが多少太くなった。
P80
米軍制式採用候補としての別名。
(参考:Wikipedia)
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