火曜日, 12月 09, 0020

拳銃紹介(永江衣玖編)

イクさんの拳銃-H&K USP

H&K USP(独:Universale Selbstladepistole, 英:Universal Self-loading Pistol)は、ドイツの銃器メーカーであるヘッケラー&コッホ社が開発した自動拳銃である。9mmパラベラム仕様は、P8という名称で現在のドイツ軍の制式拳銃になっている。他のバリエーションを含めると、多数の軍、警察、国家機関等に採用されている。

概要:
1993年に開発されたUSPは.40S&Wの使用を前提として作られ、9mmパラベラムと.40S&Wでは、弾倉と銃身組み込み済みのスライドなど、一部の部品を交換するだけで使用弾薬を変更できる。またアメリカへの進出を睨み、これらよりも少し大きいサイズで.45ACP版も発売されている。

同社にはH&K P7という拳銃がすでに存在したが、これは「スクイズコッカー」等の特殊な機構を持ち、製品としての評判が芳しくなかったこと、.40S&W以上の弾丸を使用するには設計上無理があったことなどから、拳銃の決定版的モデルが存在せず、カタログ上の穴となっていた。USPは革新的機構や独特の機構にこだわる同社が、あえて現状の技術のみを使い開発したモデルである。

口径は9mm(9mm×19パラベラム弾)、.40S&W弾、.45ACP弾を使うバージョンが存在する。装弾数はダブルカラムマガジン(複列弾倉)による15+1(9mm)、13+1(.40S&W)、12+1(.45ACP)発である。

歴史:
H&K社は、1970年にH&K VP70という世界初のポリマーフレームの拳銃を発表したが、これは商業的には失敗に終わった。それから約10年後、グロック社の開発したポリマーフレーム拳銃グロック17が好調な売れ行きを示すと、時代はポリマーフレームにあると見たH&K社は、アメリカを市場としても通用するポリマーフレーム製拳銃の開発をスタートした。

1993年に発表されたUSPは文字通りH&K社の販売戦略上の基幹拳銃となり、さまざまなバリエーションが発売される。その中で、US SOCOM(米国軍特殊部隊司令部)の制式採用トライアルを勝ち抜いた、H&K MARK 23(SOCOM PISTOL)のベースにもなっている。

P8の名称でドイツ連邦軍の制式拳銃に採用されている。日本警察の特殊急襲部隊(SAT)や、韓国海洋警察特別攻撃隊も装備している。

派生型である、USP COMPACT(9mmPara)はP10の名称で、ドイツ警察及び法執行機関に制式採用されている。P10は一般的なUSP COMPACTのボブハンマーと違い、従来のシアーハンマーを装備している。また、P2000(DAO&9mmPara)はドイツ警察に制式採用された。

特徴:
ポリマーフレームによって軽量化されたことで射撃時の反動が心配されたが、H&K社は独自の機構で解決を図っている。

操作性はアメリカ市場を睨んでコルト・ガバメントと同様の形式をとり、さらに左利きでも問題ないようマガジンキャッチを左右両用とし、コントロールレバー(セイフティ兼デコッキングレバー)も左右に付け替え可能とした。グリップは人間工学を生かした形状になっている。最初期のチェッカリングは細い縦の溝のみだったが、後に小さな四角錐を無数に配置したものに変更される。これは手袋を装着して握っても滑らないように配慮されたものである。同様に、トリガーガードもグローブを着けての射撃がしやすいように大きめに設計されている。

スライドリリース・コントロールレバーは片手親指のみで操作できるように設計されており、近年盛んになっているコンバット・シューティングの分野でも通用するようにできている。

マガジンをポリマー製にすることで、金属製マガジンの弱点であった「マガジンリップの変形による作動不良」を防ぎ、軽量なマガジンが自重で落ちてこなかった時のために、グリップ下部に窪みをつけ、マガジンを引き出しやすくしている。

フレームの先端には、ライト等のアタッチメントを付けられるタクティカルマウントが世界で初めて標準装備され、ITI社製、M2という専用フラッシュライトも用意されている。USP以降に発表された銃では、これが標準的な装備となるまでに浸透した。また、バレルはポリゴナルバレルという特殊な形状(六角形型)の銃身を持ち、耐久性の増加につながるといわれている。

9mmパラベラムと.40S&Wを使用するバージョンはフレーム等が共通で、弾倉と銃身組み込み済みのスライドの交換で口径の変更が可能。また、アメリカ市場を睨んだ.45ACPモデルでは、先の2バージョンよりサイズが少し大きいものの、12発という装弾数を実現している。

コントロールレバー:
USPのコントロールレバーには、位置や機能、シングルアクションの有無、コントロールレバー自体の有無によって9のバリエーションがある。

ヴァリアント1
シングル/ダブルアクション。後方から見て左側にコントロールレバーがあり、セフティ、デコッキング両方の機能を持つ。
ヴァリアント2
ヴァリアント1のコントロールレバーを後方から見て右側としたもの。
ヴァリアント3
シングル/ダブルアクション。後方から見て左側にコントロールレバーがあり、デコッキングのみの機能を持つ。
ヴァリアント4
ヴァリアント3のコントロールレバーを後方から見て右側としたもの。
ヴァリアント5
ダブルアクションのみ。後方から見て左側にコントロールレバーがあり、セフティの機能を持つ。
ヴァリアント6
ヴァリアント5のコントロールレバーを後方から見て右側としたもの。
ヴァリアント7
ダブルアクションのみ。コントロールレバーが無い。
ヴァリアント9
シングル/ダブルアクション。後方から見て左側にコントロールレバーがあり、セフティのみの機能を持つ。
ヴァリアント10
ヴァリアント9のコントロールレバーを後方から見て右側としたもの。

多くのバリエーション:
USPには多くの派生型がある。 下記には、主な物を紹介する。

USP TACTICAL 
口径バリエーションは9mmパラベラムと45ACPで、.40S&Wが存在しない。
通常モデルとの主な違いは、サプレッサー装着を前提とした装備がなされていることである。サプレッサー装着可能なネジ切り済み延長バレル、ハイ・ターゲティングサイトである。
これらの上に、マッチ仕様のトリガー、アジャスタブル・リアサイト、エクステンディッド・マガジンプレート、ローデッド・インジケーターなどを備え、射撃時における能力向上に努めている。
H&K社は、USP TACTICALを「Mk.23よりコンパクトな高性能銃を必要としている人へ」と、肥大化してしまったMk.23の代替機として位置づけている。
USP COMPACT
9mm×19弾は13+1発、.40S&W弾では12+1発と、小型化しながらも多弾装を実現。コンシールド性にも優れているため、法執行機関を中心に採用されている。
USP EXPERT
9mm×19、.40S&W、.45AUTO弾のバリエーションがある。それぞれ、18+1発、16+1発、12+1発の多弾数である。競技仕様のUSPで、新しいデザインのスライドを装備、銃身長を伸ばしている他は、USP TACTICALの装備とほぼ同等。
P8
ドイツ連邦軍に制式配備されているUSPの名称。9mm×19弾を使用。ヴァリアント1に相当するが、コントロールレバーの操作が若干異なり、P8では「水平状態で発射可能、下げてセイフティオン、さらに下げてデコッキングされ、同時にセイフティオンに戻る」という、先代制式拳銃であるワルサーP1(ワルサーP38改良型)に近いものとなっている。
P10
USP COMPACTのドイツ連邦軍制式採用版の名称。小型化された以外にはP8と変わらないが、グリップ下部がCOMPACTと比べ若干斜めに突き出ている。ドイツ警察にも配備され、後に後継のP2000が登場した。
P12
USPの.45ACP弾仕様のドイツ連邦軍制式採用版の名称。特殊部隊向けとされる。
(参考:Wikipedia)

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