今回は早苗さんの拳銃紹介-グロックシリーズ
グロック17 (GLOCK 17) はオーストリアの銃器メーカーであるグロック社が開発した自動式拳銃。口径は9mm(9mm×19パラベラム弾)。装弾数は複列弾倉(ダブルカラム・マガジン)による17+1発で、全長を伸ばして装弾数を増やしたロングマガジンも存在する。
開発は1980年頃から進められ、1983年に「Pi80」の名前でオーストリア軍の制式拳銃として採用された。この民間用モデルとして、1985年にアメリカで販売されたものがグロック17である。17とは、当時としては多かった17発の装弾数をアピールしたものだと言う説や、製作するにあたって獲得した17件の特許の数であるという説、またグロック社の17番目の製品であるなどの説がある。 グロック社は元々銃器メーカーではないため、その機構や設計思想はそれまでの軍用拳銃のスタイルにとらわれないものであり、発表当時は特殊な機構や材質、デザインから敬遠されたが、現在では軍用、警察用として本国のオーストリア以外にも、フィンランド、スウェーデン、インドやアメリカのFBIなどの法執行機関に採用されている。後の銃器開発にも影響を与え、樹脂素材の多用やストライカー方式によるダブルアクションなどこの銃のスタイルに近いスプリングフィールドXDやS&W シグマが開発されている。
特徴
GLOCK社はガストン・グロックが1963年にオーストリアのウィーン近郊にあるヴァグラムに創設した企業で、元々機関銃用ベルトリンクや軍用ナイフ等を生産していた。火器そのものの開発は行っていなかったが、1980年に始まったオーストリア軍新制式採用トライアルを受けて拳銃の開発を始めた。
プラスチックの多用:
フレームや、トリガーとその周辺機構、弾倉外側がプラスチック製となっている。他にも、強度上問題が無い部分にプラスチックが使われている。成型の容易さから生産性が向上し、軽量になったほか、寒冷地で使用する場合、冷えた金属に皮膚が張り付く事故を防ぐことができる。
フレームが軽量な素材構成の場合、全体の重量が軽いために反動は吸収されづらくなるが、グロックのフレームに採用されている素材は、ある程度の柔軟性を持たせることで衝撃を緩和している。
発売されて20年たつが、古い個体ではプラスチックの経年劣化が現れているとの指摘もある。さらに、アンダーレール付きの第3世代フレーム採用機種では、ライトやレーザーサイトを過度な締め付けで取り付けた場合、フレームが歪み作動不良を起こす例があったことから、金属製フレームという、グロックの特徴を捨てたカスタムパーツも存在する。この問題はグロック社純正の第4世代フレームでは解消されている。
特殊な撃発機構とセーフティ:
グロックの引き金の機構は、大別するとダブルアクションオンリー (DAO)に属するが、グロック社による「セーフアクション」と呼ばれる特殊なメカニズムを持つ。そのため一般的なDAOピストルと違い、連続して空打ちする事が出来ず、空打ちするにはスライドを2~3cm引き、撃針をハーフコック(半後退)させる必要がある。
スライドを操作し初弾を装填すると、撃鉄兼撃針であるストライカーが半分程後退した位置でシアによってロックされる。このポジションでは、ストライカーは、シア及びファイアリングピン・セイフティにロックされているので暴発の危険性はない。
ストライカーが前進している場合は引き金は後退しており引き金が引けないようになっている。スライドを引いて撃発可能なハーフコックの状態では引き金は前進位置になるためこれでストライカーの位置が確認できる。 引き金を引くと、それに連動してシアがストライカーをフルコックの位置まで後退させた後、開放して撃発する。発射に伴う作動を終えると、ストライカーはシアによりフルコックの位置で保持される。この状態では引き金をほんの少し戻すだけで、シングルアクション並みの短いストロークで連射することができる。引き金を完全に戻すと、ストライカーはシアとともにレストポジションまで前進し、安全に保管可能な状態となる。
通常のDAOより引金の引きシロが短いため、安全のためトリガーセーフティが設けられている。
これは引き金の中央部分にもう一つの引き金が挟み込まれたような構造で、安全装置は引き金を引く方向とは違う角度で解除されるため、射手の指以外の物体が誤って引っかかっても容易に引き金が動かないようになっている。他の銃と比較してトリガーガード内のスペースが狭くデザインされ、手袋などをした場合には障害となる場合があるが、異物が入り難い構造にもなっている。この安全機構は弾薬を装填した状態で安全に携行できる反面、弾薬の装填を確認しないで操作しようとしたり、発射の意思がないのに不用意にトリガーに触るような扱いは想定していない。
当時回転式拳銃を使用していたニューヨーク市警の装備改変の際に制式採用されたが、ダブルアクションの重い引き金に慣れた現場の警官たちの暴発事故が増えているという意見により、スプリングを交換して引き金の重さを強めたNY市警向けのモデルが開発された。
グロックを採用した警察等の公用機関の一部では、このような対応は取らずに、従来型のマニュアルセーフティを備え価格も手ごろなS&WのM39系やM59系の自動式拳銃に装備を改めた例もある。
設計・デザイン:
銃全体のレイアウトでは、ストライカー方式を採用して銃身の位置を下げ、グリップの角度を大きく取ることで反動を受ける位置を銃身に近くし、発砲時の銃口の跳ね上がりが抑えられる設計となっているが、握り方によっては銃口が上を向きやすいとの批判もある。突起物や凹凸の少ないデザインとすることで衣服への引っ掛かりや異物の侵入を防いでいる。内部構造ではラウンド形状のライフリングを採用することで、銃身の耐摩耗性を向上させた。
金属部には同社の軍用ナイフのノウハウを活かした熱処理がされた硬度の高い鋼材を採用することで耐久性を向上し、同ナイフでも採用されている強力な防錆処理によって耐食性を高めており、ステンレスモデルは存在しない。
弾倉:
金属製の本体の上にプラスチックの外装を被せているため、寒冷地などで冷えた弾倉を掴んで凍傷を負う危険がなくなった。購入時の付属品である通常の弾倉の他、マガジンエクステンションを付ける事で装弾数を二発増やす事が可能。また幾つかの口径に対応するロングマガジンがあり、9mmは33発、.45ACPが25発、.40S&Wと.357SIGでは共用可能でどちらも29発となっている。素材の性質上、全弾装填すると膨張し、その状態でキャッチボタンを押しても自然に滑り落ちてこないが、最新のモデルではグリップ前に切り欠きがあり、弾倉をつまんで引き降ろすことができる。
グロックに関する誤解
1)グロック17が発売されて間もない頃、その特徴的な素材構成と機能のため「手荷物検査で発見できない、高価なハイジャック犯御用達の拳銃」という流説が一時的にあったといわれているが、実際はスライドや銃身、弾薬等が金属製のため容易に発見できる。後にグロック社はフレーム材にX線造影剤を添加し、銃の全体像がX線に映るよう対策をとっている。
2)プラスチック素材を使った最初の銃として認知されることが多いグロックだが、フレーム前半にプラスチック材を用いたH&K P9の方が先発であり、鋼材フレームの上に樹脂製ボディを被せたH&K VP70も存在した。順番の誤解は、これらの銃器が知名度に劣ることによる。「プラスチック素材使用の銃で商業的成功を収め」また「フレーム全体がプラスチック素材となっている銃」はグロックが最初ということになる。
バリエーション
複数のバリエーションが展開されているが、最初のモデルであるグロック17も、フレームにマイナーチェンジを施しながら生産を継続している。2世代目ではグリップに滑り止めのチェッカリングがつき、3世代目ではそれに加えアンダーマウントレイルと、握った際に正しいポジションへ誘導するためのフィンガーチャンネルが追加されている。4世代目はレール装備品の誤作動を防ぐため、剛性が向上している。
小さいモデルはより大きなモデルで使えた弾倉をそのまま使う事ができ、グロック26に17のマガジンを使った場合、通常+7発のロングマガジンとして扱える。また、ほとんどのモデルに反動軽減用のマグナポート内蔵モデルが存在し、搭載モデルはグロック17Cと型番の後にCが付く。
グロック20 / 21 / 22 / 31 / 37:
グロック17直系の別口径モデル。()内はノーマルマガジンの装弾数。
20=10mmAuto(15)、21=.45ACP(13)、22=.40S&W(15)、31=.357SIG(15)、37=.45GAP(10)となっている。
20/21は大口径モデルであり、全長が193mmに伸びている。
グロック17L / 24:
グロック17を競技用にするために長銃身にしたモデル。全長225mm、重量748g、装弾数17発。G34の発売を受け、生産は終了している。 軽量化などのため、スライド上部に肉抜き加工が施されている。命中精度のよさなどから、FBIにも愛用者が居る。24は17Lの.40S&Wモデル。全長225mm、重量757g、装弾数15+1発。
グロック18 / 18C:
グロック17に自動連射機構を搭載したモデル。小型である上にポリマーフレームが軽量なため連射時の反動は大きく、集弾性は低い。そのためカスタムパーツとして折りたたみストックが存在する。元々はオーストリア国家憲兵隊に属する精鋭の対テロ部隊GEK COBRAの要請によって開発された。外観はG17と殆ど変わらないが、スライドの左後方にセミ/フルオートの切り替えレバーがある。グロック18CはG18のコンペンセイターをマグナポートに改めるなどした改良型で、G18で問題視された反動もやや押さえてある。犯罪に利用されないよう一般への販売が禁止された公的機関限定モデルであるが、特殊な許可(クラスIIIウェポンディーラー)を取った上でグロック17にフルオート機能を追加したスライドと銃本体を別々に登録する事によって、民間人でも同じ機能の銃を所持することは可能(あくまでも同じ機能であり、登録上はグロック17の改造銃になり、グロック18としての登録ではない)。全長186mm、重量703g、装弾数17/19/31/33発、発射速度1200発/分。
グロック19 / 23 / 25 /32 /38:
グロック17を小型化したコンパクトモデル。()内はマガジンの装弾数。
19=9mm、23=.40S&W、25=.380ACP、32=.357SIG、38=.45GAP
ベースとなる19では全長174mm、重量595g、装弾数15+1発。19は日本警察のSATで使用されていると言われている。
グロック26 / 27 / 28 / 29 / 30 / 33 / 39:
グロック19をさらに小型化したサブコンパクトモデル。26=9mm(10)、27=.40S&W(9)、28=.380ACP(10)、29=10mmAuto、30=.45ACP(9)、33=.357SIG(9)、39=.45GAP(8)。
ベースの26は全長160mm、重量560g、装弾数10+1発。29、30は全長が172mmに伸びる。
グロック36:
上記グロック30の改良型。元々30は大口径のため、ダブルカラムのマガジンではグリップが太くなり、比較的握りにくく、携帯にも不便だった。そこでグロック社はあえてシングルカラムにして装弾数を少なくしながら、握りやすく、携帯性を高めた36を販売した。
全長172mm、重量638g、装弾数は6+1。フルサイズの21とマガジンの共有は出来ない。
グロック34 / 35:
グロック17LをIDPA競技会の基準に合うよう小型化し、改良を加えた競技用モデル。ダストカバーの先端がカットされ、ガイドロッドカバーが露出している。全長207mm、重量728g、装弾数17+1発。
35は24同様の.40S&Wモデル。
グロック17の遊戯銃
日本で初めて商品化されたのはMGC製ブローバックガスガンで、エアソフトガンでは初めて発射とブローバックを一工程で行う機構を採用した。
その後、東京マルイやタナカワークス、KSCなど様々なメーカーから発売されており、特にKSCは、2007年現在で最も多くのバリエーションを展開している。過去には国際産業や啓平社からも発売されていた。商標上の問題からか、メーカーによっては、スライドやフレームの「GLOCK」ロゴがアレンジされたものとなっている。例えば、KSC製品の一部は「G」のみになっており、タナカワークス製品は、ロゴをよく見ると「CLOCK」になっている。
実物のグロックは反動吸収の為に質感の柔らかいプラスチック素材を用いているが、これは遊戯銃の主要な材質であるABS樹脂やヘビーウェイト樹脂よりも柔らかいため、ほとんどの遊戯銃はフレームが実物よりも硬い。
実物のグロックは、エアソフトガンの自主規制上必要となる能動的なマニュアルセーフティを持っていない為、実物どおりの通常分解を再現せずにテイクダウンレバーをセーフティとする(各社エアコッキングガン)、トリガーセーフティにマニュアルセーフティとしての機能を設ける(KSC製品)、フレームのシリアルナンバープレートをスイッチとする(東京マルイ製ブローバックガスガン)などの対策が取られている。 独特な引き金機構であるセーフ・アクションに関しても、エアソフトガン、特にエアコッキングガンとブローバックガスガンでは構造上再現が困難なため、トリガーをシングルアクションとして内蔵ハンマー式に変更するなど、内部構造でのアレンジが行われている。モデルガンでは発射機構の大幅な変更を必要としないため、タナカワークス製モデルガンではセーフ・アクションが再現されている。
(参考:Wikipedia)
編者注:早苗さんの使用拳銃は、グロック19であります。
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